=キング of ビースト=3



病院にあるきれいな中庭に二人で出た。


夜琉はベンチに腰かけタバコに火をつけた。


「検査室の前で夜琉は俺に
‘…―お前は俺にこれ以上何を望む?’
って言ったろ?」


「…。」


「多分俺は夜琉に“芯”っていう人間を望んで欲しかったんだと思う。夜琉と小さい時から一緒にいて、世話をしてきて。それはこれからもずっと続くんだと思ってた。」


「…。」


「でも、もう俺の役目は終わったんだと思う。夜琉に由莉さんができた時点で終わってた。」

「…ー。」


「だから俺は、この事が終わったら組に戻ろうと思うーーー…。俺は若頭だ。そのうち組を従えていかなきゃならない。」


「ー……。」


「俺が夜琉を支えてると思ってたー…、けど違ったよ。俺が夜琉に支えられてたーーー…。」

「…。」


「…ーだからほら、こんなにも胸がいてぇよ。」


「…っ」


「でもーー…俺は後悔しない。絶対に…ッ。今度からは夜琉の為じゃなく、組のために命かけてやる。」


弱い自分を捨て、



……………ー強い自分を作る。


例えそれが出来なくても、周りからはそう見えるように。


「芯、これだけは忘れるな。俺が安心して弱さを見せれるのは由莉と芯だけ。俺の背中をまかせられるのは芯だけだ。」


「ーーーー…ふ。言ってくれるわ。」




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