=キング of ビースト=3
「はい。」
と言って電話に出た。
『芯さん、夜琉と由莉は?』
すると挨拶もなしに本題に入ってくるところをみると急いでいるらしい。
「夜琉は俺が病院に連れて来た。由莉さんは意識は戻ったよ。」
『ちょっと待って下さい。‘意識は’って事は他になんかあったんですよね。』
相変わらず鋭い。
「脳に異常はない、脳震盪は起こしてるらしいけど。ただその脳震盪の後遺症的なのが、ちょっと続くらしい。」
『ち』
「ただ問題なのが指だな…。」
『えッ!?』
「動かない訳じゃないんだ、元のように動くのは難しいらしい…。」
『え?それってどういう…………?』
弘樹が動揺しているのがわかった。
きっとそんな事を受け入れたくないのだろう。
「……ー麻痺、するかもしれない。」
『ッ!!』
目を伏せながら言った俺の耳に夜琉の足音が遠ざかっていく音が聞こえて
「わりぃ、弘樹。夜琉が…。」
『ちょっ、芯さん。』
そう聞こえたが構わずに通話ボタンを切った。