=キング of ビースト=3
「だから、ここまで組を動かさずに今まで頑張ってきていらっしゃったのに。」
「陽斗。」
「はい。」
「どうして俺が組を継ぎたがらなかったのか分かるよな?」
「夜琉様、ですよね。」
「ああ。」
組を継げば夜琉の面倒を見れなくなるのが嫌だった。
だから頭に‘組を早く継げ’と言われても何かしら理由を作って渋っていた。
「さっき陽斗に電話した時は
‘夜琉の為に組を継ぐことになるなら構わない’
と思ったんだ。」
「…。」
「……ー最低だよな。そんな想いで組を継ごうと思ったなんて。」
組を大切に思っている奴らにとっては、失礼な理由だと知っている。
組を想って継ぐのではなくて、夜琉を想って組を継ごうとしていたんだから。
「俺は組も夜琉も大切に思っている。けど、組には頭がいるし、俺が居なくてもちゃんと立派にやっていける。」
「…ーそれは違いますよ。若は今の長谷組には必要です。」
「いや、実際俺が居たらより良いが…ー居なくても最低限やっていける。」
「…。」
「だけど、夜琉には俺が居ないとダメだった。俺が組を継いで夜琉を見れなくなったら、夜琉は壊れていく。」
それは自惚れなんかじゃなくて。
夜琉が俺を頼りに生きているのを知っていたから。