=キング of ビースト=3



午前8時頃


「そろそろ、か―…」


と呟いた璃玖は携帯を片手に電話をかけ始める。


相手は情報を得ようと夜通し動き回っていた侑。

大体8時頃から登校してくる生徒たち。
9時には1時間目が始まるので、そろそろ動きだしてもいい時間帯なのだ。


『はい。』


短いコールのあと聞こえた声は少し掠れていて、疲れていることが分かる。


「侑、何か分かった?」


『…。いえ、全く。』


「そう。なら………」


『分かってますよ。華月の欠席者の確認ですよね。』


「うん、流石侑だね。」


『それを言うなら璃玖さんだと思いますけど。』


「なんで?」


『俺達に、璃玖さんたちが考えた作戦を言わなかったのは華月に南月さんと行った事が情報として俺の耳に入ってくると分かっていたからですよね?』


「…流石。でも‘言わなかった’んじゃないよ。‘言う必要がなかった’んだ。」


『?』


「だって侑たちなら俺達の考えた事を入ってきた情報で理解してくれると知っているのに、わざわざ説明しないでしょ。だから‘言う必要がなかった’ってこと。」




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