=キング of ビースト=3



くすっと小さく笑みを見せた璃玖は


「じゃあお願いね。」


と言って電話を切った。



相変わらず空気の重い幹部部屋に


「バカな女の最後の悪あがきでも楽しもうか。」


璃玖の軽い声が響いた。



その声を合図に皆が動きだした。


――――――――


「璃玖さん、狼羽の奴らが下に着いたらしいんやけど…敷地内に入れてよかけ?」


「もちろんだよ、直也んとこも秋んとこも中に入れてあげて。」


ぞくぞくと狼那連合が那龍の敷地に到着するなか、広間でも準備は進んでいた。


広間には溢れんばかりの人。
相当な事がない限りこんなに人は集まらない。


広間にいる沢山の恐々しい連合をまとめているのが


「こっから先は那龍以外入るな!!」


……―南颯、特攻隊長だ。


寸分の狂いもなく、指示をだしまとめあげていく。

颯のおかげで溢れんばかりの人も揉めることなく留まっていた。




そこに上から降りてきた連合のトップたち。

南月を筆頭に、直也、秋。

その後ろには紅雨と璃玖が。


そして広間が静まり返った中、ゆっくり歩いて降りてきたのは連合の総トップ、那王。


『……―夜琉』


その隣からいつも聞こえる柔らかい声は今は聞こえなくて、


悔しさが広がる。


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