=キング of ビースト=3
その声に優しい顔を向ける夜琉もいなくて、二人の圧倒的な存在感を実感する。
実感すればするほど苛立ちと悔しさを感じる。
いつもの定位置に置いてある黒と白のソファー。
黒のソファーに夜琉は腰掛けた。
……―隣は空席のまま。
不穏な空気が続くなか、
「華月3年欠席者リスト集まりましたっ!」
その空気を絶ちきる声が聞こえた。
人混みを掻き分けるように走ってきた侑は
「これです…っ」
璃玖に素早くクリアファイルを手渡した。
「ありがとう。」
短く答えた璃玖はすぐさま資料を見始める。
その資料には顔写真と細かいプロフィールまで書いてあった。
欠席者は全部で6人。
「こいつは違うな。」
と言って一番最初に除外されたのは昨日南月に討たれた女。
そして備考のところに登校拒否者と書いてあるのが2人。
これで3人は無実。
そこから璃玖はじっくりと顔写真とプロフィールを見始める。
そこで目に留まったのが…―
「――…この女」
ケバい女。
どこかで見たことがあるような顔で、
「こいつ以前、夜琉にしつこく付きまとってなかったか?」
と言って夜琉に写真を見せるが、
「くだらねぇ女の顔なんていちいち記憶してねぇよ。」
とそっぽを向いたまま、吐き捨てた。
でも璃玖は
(絶対この女以前夜琉に付きまとってた。)
なぜかこの時確信が持てて、携帯を取り出すと亮に電話をかけ始めた。