=キング of ビースト=3
「わりぃ。」
「ぅん。」
「わかってた、本当は。こんな事しても由莉は悲しむだけだって。」
「うん、悲しい。」
「でも、押さえられなかった。お前の事になるとダメだ、自分でもわかるくらい周りが見えなくなる。」
「そんな事ない。今だって止まったじゃん。」
「それは由莉だから。悪かった、守ってやれなくて。痛い思いさせて。」
「別に夜琉のせいじゃないし。」
「お前絶対安静が条件で退院したんだよな、今日。」
「うん、ついさっき退院した。」
「芯がマンションに連れて行ったはずだよな、何でここにいるわけ?」
「あー抜け出して来ちゃった。」
「あ?」
「なんか、夜琉のところ行かないと取り返しのない事になっちゃいそうで。嫌な予感しかしなくてタクシー呼んで、来た。」
「…。」
皆がいるなか二人だけが抱き合ったまま喋っていて。でもそれもいつまでも続く訳がなく、
「だいたーん。」
つまらなそうな声が聞こえた。