IN THE CLUB
愛の言葉
私の職業はホステス。
今日の職場もいつもと変わらず、客の年齢層は30~60代、案外落ち着いたオヤジがメイン。オタク系の人間から、女と一度もやったことのない男すらやってくる。笑顔を振りまき、悩みを聞く。女の顔をみただけで硬直してしまうような男には積極的にこちらから世間話でもふって時間を稼いだ。
一時間一万円も払って、モテない男どもは私の笑顔に会いに来る。グラスの氷が解けるまで私は隣に付いた男の恋人を演じた。
恋愛がうまくいく保障なんて一つもない。私は男達を心の中で蔑んだ。
客の男たちからは美しいと言われた。
男たちは私の欲しがるものを何でも与えてくれた。
男なんて単純だ。私はそう思っていた。
それと同時に私が確信的に抱いていた感情がある。
男なんて好きになるものじゃない…。

だけど私は恋に落ちた・・・。

初めて寄ったクラブで出会ったMCに・・・。
20代後半になって初めて行ったクラブで・・・。
私は彼を一目で好きになった。

ジャンルはHIP HOP いかにもたらしの男女が集うようなクラブだった。
パフォーマンスを終えた彼がフロアに下りてきた。
引き寄せられるかのように私は彼の元に歩み寄った。
二言三言耳元で交わした言葉、彼はすぐに自分の携帯番号とアドレスを私に手渡した。
余りにもあっさりとした成り行きに少し私は拍子抜けしたが、そのメモリーを大切二歩管した。メールを送ると返信が来た。
「今度のみに行こうか?」
携帯を握り締め胸の高鳴りを抑えることができなかった。
彼のIDを調べると彼は私より4つも年下だった。

「来週の土曜うちの地元に遊びにおいでよ。」
彼からのメールは私をいても立ってもいられなくした。
私はすぐに彼のCDを買い通勤中も、車の中でも何度も彼の歌声を聞いた。
約束の日の前日に来た彼からのメール。
「仕事が終わるのが八時くらいになるから、十時くらいから遊ぼうか?」
八時からのみに行くのではなく、八時に仕事が終わる。
あえる時間は数時間しかないのだろうか。
「じゃぁ少しだけ話をする感じ?」
「もし嫌じゃなければどこかに泊まってもいいよ。」

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