IN THE CLUB
9月に入り学校が始まった。授業中も頭に流れるのはTOMOKAZUがフロアーに流したチューンばかりだった。

少しずついろんなことを私は覚えた。
彼にもっと近づきたかった。
彼がブースでプレイする姿は最高にかっこよかったし。
フロアーの全員がそのプレイにロックされた。

彼が私を仲間内の飲み会に誘ってくれたのは9月の第三土曜日のことだった。

「メグもやるか?」
TOMOKAZUが私に見せたのは、小さなパッケージに入った白い粉だった。
もしかして・・・。
疑っては見てもそれがなんのなか、私はすぐに理解した。
「何処でそれを?」
私の声は震えていた。私はそれを押し殺そうとした。
TMOKAZUに嫌われてくなんてなかった。
「いつもんとこ~。」
後から知らない男が私にそういった。男は凄くハイで凄くふざけていた。
「日本にあるこういうのって、、、いろんなものが混ざっててよくないってTVで見たことがある。」
本当はそんなことが言いたいのではなかった。

〝イヤだ〟やめてそんなもの。そう言ってその粉をどこかに捨てて欲しかった。
周りにみんなが笑う。
「混ぜ物なんか入っちゃうないよ。」
TOMOKAZUがやさしくそっと私に微笑んだ。
私はその笑顔が大好きだった。

TOMOKAZUは散らかったテーブルの上にあるミネラルウォーターのペットボトルと空のグラスを手に取った。

TOMOKAZUは空いたグラスに水を注いだ。
グラスをテーブルに置き小さなパケージから白い粉を一つまみ取り出した。

「いいか、見てな。」
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