青春スパイ大作戦【短編集】
『うすうす』と書かれたその箱には、コンドームがぎっしりと詰まっていた。

「薬屋で買って来た」

ハンド部一の男前が言った。

「俺たちも、そろそろ使う時期が来るかもしらんからな」

初めて実物を見た俺たちは、初めて文明の利器に触れた原住民のように、「こ、これがコンドームだべかっ!!」「んだ!聞いてたより、伸びるぞ!」「ほんまじゃぁぁ!今晩は祭じゃぁぁぁ!」珍しそうに各々手に取った。

俺たちの時代では、高校生と言っても付き合ってる人は、限られた人間だった。

ハンドボール部内でも、付き合ってる人はいなかった。

そんな状態だったので、セックスの経験者なんて皆無だ。

自慢話といえば、「俺昨日3回オナニンしたぜ」というのが限界だった。


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