青春スパイ大作戦【短編集】
2月14日(火)
オレは、早めに起き、血が出るまで歯を磨くと家を出発した。
自転車に乗る前に、ポストを覗く。
早起きな女の子が、そこにチョコを入れているかもしれん。
自転車に乗ると、いつもより遅めのスピードで駅に向かう。
家から出てくるのを待っている女の子がいるかもしれん。
いつもと同じ箇所に自転車を置く。
オレの自転車のかごにチョコを入れようとしている女の子がいるかもしれん。
駅で友達と合流し、学校へ向かう。
もちろん、その時も周りに気を配る。
走る足音を聞こうものなら、すぐに身構える。
それが、オレにチョコを渡しに来た女の子のものかもしれん。
学校に入ると大変だ。
なんつったって、下駄箱がある。
ドラマや漫画では、ここが一番可能性が高い。
ただ、オレの学校の下駄箱は、扉付きでは無い。
そのため若干期待値は低くなるが、ゼロではない。
オレは、普段と全く同じように下駄箱の中を覗く。だが、チロルチョコでも見逃さないほどの集中力でだ。
でも、下駄箱の中には、オレの臭い上履きがあるだけだった。
ま、まだだ。まだ、机の中というのがある!