青春スパイ大作戦【短編集】
着替えを終え、着ていたジャージをロッカーに片付けていると、
「あ、こんなとこにチョコ残ってるやーん。もらいー」
その言葉を背中に聞いて、振り返る。
すると、オレの永久保存用チョコが部員の健太の手によって今まさに食われんとしていた。
「や、それ、オレ・・・・の」
その言葉が健太の耳に届く前に、チョコは健太の口に吸い込まれ、おそらくあっという間に健太の唾液で溶かされると食道を通って胃に辿り付き、消化され、健太の血と肉となっていくんだろうな。冷静にそんなことを考えながら、オレは健太の手によってゴミ箱へ捨てられたチョコの包装を見つめた。
その時のオレの目は、今までに無いくらい哀しみを湛えていただろう。
その日の晩、みんなと別れた後、ダイエーでお徳用ピーナッツチョコレートを買い、泣きながら食いまくる一人の男の姿があったそうな。
【今回のミッション】
多分失敗