青春スパイ大作戦【短編集】
店を出たオレは、亀仙人の甲羅を脱いだ悟空とクリリンのように、軽々しい足取りで家路につく。

数々の難関を突破し、とうとう憧れのエロゲーを手に入れたのだ。

オレは、自分で自分を褒めた。
もちろん、これが初めてではない。

帰りの地下鉄でも、
「オラオラ、遅ぇんだよ、運転手本気出せよ、本気」
なんか、強くなった気がして、態度もでかくなってた。

家に着くと、そのままパソコンまで一直線だ。
パッケージを開けると中にはフロッピーが4枚ほど入っている。

こ、この中にエロゲーが入っているのか。

説明書を見ると、まず、この4枚のフロッピーのデータをパソコンのハードディスクにインストールするべし。と書いてあった。

早速、フロッピーをパソコンに挿入する。

さぁ、来い!どんと来い!!

椅子の上で飛び跳ねるオレ。

しかし、パソコンは、「ガガガ、ガガガガガ」とフロッピーを読み込む音を出した後、

『このディスクは正常に読み取れません。フォーマットしますか?』

と、のたまってきやがった。

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