青春スパイ大作戦【短編集】
そんな、腑抜けになっていたオレに新たな指令が下された。
それは、金曜ロードショーを見ていた時のことだ。
ヨーロッパを思わす美しい景色。それをバックに男女二人。
女は、男にせがむ。
しかし、男は、それを断り笑顔で女の元を去って行く。
取り残された女。
そして、一人の男が走ってくる。
『くそー、あいつめ、またまんまと盗みよって!』
女は、男に抗議する。彼は何も盗んでない。それどころか、命をかけて私達を守ってくれたと。
『いや、奴は、とんでもない物を盗んでいきました―――あなたの心です』
女は、一瞬驚くも、
『はい』