あたし、花火。[短編49P][企画]
『ババババッ』

 その時、派手な音を立てて、連続で花火が上がった。


 赤、オレンジ、黄色、紫……。

 色とりどりの花火が上がる。



 永井くんはその花火を見上げてから、頬に添えられたあたしの手に、自分の手を重ねた。

 そして、優しく、その手にキスを落としてから、あたしを見つめる。


 永井くんの瞳を見ると、あたしが映っているのが見えた。


 先生から消えたはずのあたしが、今は永井くんの瞳に映ってる……。


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