あたし、花火。[短編49P][企画]
「あんたの痕なんて消してやりますから」
俺の言葉を聞いた先生が、面食らったように目を見開いた。
そしてしばらくすると、唇を噛み締めて下を向いてしまう。
「百花を頼む……。俺は百花という花を散らせてしまった……」
先生が俯きながらボソッと呟いた。
先生、分かってないな。百花先輩はその辺の「花」じゃないんだよ。花火なんだよ。それも、打ち上げ花火だ。
「先生、ちょっと花火買ってくれません? いいですよね?」
俺がニヤリと言うと、先生は怯えたように頷いた。