あたし、花火。[短編49P][企画]

「あんたの痕なんて消してやりますから」


 俺の言葉を聞いた先生が、面食らったように目を見開いた。

 そしてしばらくすると、唇を噛み締めて下を向いてしまう。



「百花を頼む……。俺は百花という花を散らせてしまった……」



 先生が俯きながらボソッと呟いた。



 先生、分かってないな。百花先輩はその辺の「花」じゃないんだよ。花火なんだよ。それも、打ち上げ花火だ。





「先生、ちょっと花火買ってくれません? いいですよね?」

 俺がニヤリと言うと、先生は怯えたように頷いた。

< 43 / 49 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop