あたし、花火。[短編49P][企画]
 もちろん、こないだの花火大会とは比べものにならない。

 でも、百花先輩と二人で見るというだけで、特別な気がしてくる。



 百花先輩は花火が消えた後、さっきよりも長くその場所を見ていた。



 ……何だか自分が見られてるような錯覚がしてしまう。




「そう、キミが……」



 呟きながら、俺をゆっくり見た。

 そして、ふふっと柔らかく微笑む。


「――何て顔するんですか」


 俺は思わず目を逸らした。


「――!」


 その隙に、百花先輩は俺の手から残っていた花火を取り上げた。




「キミばかりが仕切っていて、ズルイ」


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