あたし、花火。[短編49P][企画]
 俺は黙って百花先輩の言葉を待った。目を塞いでいる百花先輩の手が暖かい。



「三個目は、キミとあたしの心の中で上がればいい。


そしたら……



消えないでしょう?」





 百花先輩がやっと手を離してくれた。



「どう? キミも魔法にかかった?」


 そう言いながら、また縋る(すがる)ような目を向けてくる。




 俺は思わずフッと笑いが漏れてしまった。



 魔法だなんて、こんな馬鹿馬鹿しい……ただの、俺の願望なだけなのに。



「もちろんですよ」



 らしくないな。

 俺から百花先輩が消えるなんて、とても考えられないなんて。

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