黒白の彼方



駆け込んだ自分の教室では幸いまだホームルームは始まってなかった。

皆お喋りしてる。
昨日観たテレビの話とか部活の相談とか、そんな他愛もない話。


『真琴、おっはよ!』


一番に元気良く挨拶してきたのは昨日メールをくれた青衣だ。
おはよ、と返す間に気がついた他の友達やクラスメイトが声をかけてくる。


「久しぶり」「久々の登校が遅刻かよ」「生きてたのか!」


到着早々人に囲まれるのは正直しんどいけど顔には出さない。後が面倒だから。


「朝一で生存確認されてるあたしって一体何…」と冗談を返しておく。


今日も【お面】を被らなきゃ。
人間関係を円滑にする為に。
誰もあたしの奥深くに入れない為に。


自分を傷付けない一番良い方法。
それがあたしの処世術。



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