黒白の彼方



一通りの挨拶を済ませて周りが少し落ち着いた頃。

あたしが自分の席に着いて教科書を机の中に入れていると、数冊のノートを持って青衣がやってきた。


『これ、真琴が休んでた間のノートね。欠席の理由は適当に言っておいたから。

それにしても相変わらず【お面】がお上手なようで。』


後半は誰にも聞こえない位に声を落としての皮肉。


青衣もまたあたしの事情を知る一人。

バイトやらで首が回らないくらい忙しくなるとこうやって色々とフォローしてくれて物凄く助かる。口には出さないけど。

それに昔からの付き合いもあるけど、あたしが【お面】という処世術を使わず気軽に話せる数少ない人だ。
あ、今のってちょっと寂しい人っぽいかも…。


「いつもありがとう。

青衣も相変わらずの毒舌。朝から冴え渡ってるよ。」

ノートを受取ながら思わず意地悪く笑ってしまう。



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