黒白の彼方
言わないけどね、文句なんて。担任といきなりいざこざなんて起こしたら面倒だし。
下手に反抗したら目を付けられて今後に影響がでちゃう。
でもこの担任、何かを察したらしく斜め45度に下げてた頭を上げると何かを考えた後帰って良いって言ってくれた。
あたしが言うのは変だけど…何だか拍子抜け。
今までは散々説教されて理由説明して、理由を知っちゃった先生から滲み出る気まずい空気をひしひし感じながらお開きのパターンだったから。
変な先生だな、藤原サンって。
でも早々に終わってくれるのは助かる。これならバイトに間に合いそう。
もと来た通路を引き返し始めた時、藤原サンに不意に声をかけられた。
「お前さ、何かムリしてねぇ?辛くなったら早めに言えよ」
…何、この人。
確かにバイトで疲れてはいるけど、あたしそういうの顔に出さない主義だし。
もしかしてエスパー?
目の前でくるくると椅子で回りながら何食わぬ顔で心配されてもどう反応すれば良いか分かんない。
「…ありがとうございます。」
小さな声で返事をしてあたしは逃げる様に狭い通路を進んだ。