黒白の彼方
「無理してないか」って言われた時、一瞬あたしの中の何かを見透かされているような感覚だった。
さっきの何かを察した様子も考慮すると余計にそう思う。
嫌。そんなの嫌だ。
見透かされたくない。
誰もあたしの中に入って来て欲しくない。入って来ないで。あたしは一人で良いんだから。
入って来られるのが、怖い。
そう思うと余計に歩くのが速くなる。
一刻も早く、少しでもあの藤原サンと距離を取れる様に。
それに…。
やっぱり変だ、あの人。変わってる。
何処にでもいるような人なんだけど何か違う。
あんな人あたしの周りに居なかった。
頭の中でずっとごちゃごちゃ考えていたせいか。途中通路脇に重ねられたプリントを山を少しだけ崩してしまった。
おかげでバイトは遅刻ぎりぎりだった。