黒白の彼方


何がおかしいのか自分でも分からない。
むしろあたしにとっても良い知らせではないんだけど、思わずニヤリと口角が上がってしまった。

「あぁさては先生が最近引っ越してきたお隣さんですね。
新入りはちゃんと挨拶をするのが礼儀なんじゃないですか?」

ふと浮かんだ予想を口にしてみる。

確か3月頃だったかな。その頃ずっと空き家だった隣の部屋に誰か越してきた。
けれどあたしは大体学校かバイトで家を空けていることが多くて、家に居てもお隣さんが留守って事が多くてずっと顔を合わせることがなかった。

どんな人なんだろうって思ってたけど、へぇー教員がお隣ね。
ていうかホントに行動が制限されるなぁ。しかも担任だから余計だよね。あちゃー…。

バイトに口出ししてきたらどうしよう。生活費に影響が出ませんように。


今後の生活について色々考えていて、ふと藤原サンの顔を見てみる。
すると何かに納得した様な顔をして「隣に引っ越してきた、市ノ瀬の担任を務めます、藤原 司です。色々とご迷惑を掛けたり掛けられるとは思いますがよろしくお願いします。」と急に挨拶をし出した。

あぁあたしの言ったことに納得をしたって事ね。煩い割には意外と素直なんだ。
それにしても「迷惑を掛けたり掛けられたり」って何か余計じゃない?





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