黒白の彼方
そういえば誰かとご飯を食べるのも久方ぶりだ。
よく考えてみたら今日は「久しぶり」が多い。
久しぶりに学校に行って、久しぶりに友達に会って、久しぶりに先生に怒られて、久しぶりに早く家に帰ってテレビを観て笑って、久しぶりに誰かと温かいご飯を食べる。
ここ最近本当にバイト尽くしの生活で、けれど大変だけどそれはそれで満足してた。
他人から見ればつまらない、色のないモノクロみたいな生活だけどそれでも良いんだって思ってた。
高望みはしちゃいけないから。
でもたまには良いな。こうやってご飯食べるのも。
他の人にとっては普通だけど、あたしには新鮮に感じられる。
ただ相手が藤原さんなのがちょっと不服…かな。
まだ温かい野菜炒めにもう一度箸を伸ばしたときだった。
「お前初めて素直に感情を出したな。」
心臓が跳ね上がった。思わず箸も止まる。