黒白の彼方


その言葉にはっとした。
たしかずっと前に誰かがふさぎ込んでたあたしに言ってくれた言葉だったから。

その時も「生きてて良いんだ」と思った。
存在を否定されて、腫れ物に触るみたいに扱われてきたあたしでも生きて良いんだと。


誰が言ってくれたのかは分からないけど、今あたしに言ってくれた人は何事もなかったみたいに食事を進めている。多分。

視界がぼやけて良く見えないけど。


そして促されるままあたしも食事を再開する。

みそ汁を口に含む。
すっかり冷えてしまって少ししょっぱいけど気のせいかさっきよりも美味しく感じられた。


あたしのスカートの上に水玉模様が出来ていた。



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