黒白の彼方
おはようございます
何となくあの年の夏を思い出した。
あたしはあの時家の庭で学校から持ち帰ったアサガオに水をやっていた。
そう、確かあの時は夏休みだった。小学校低学年の夏休み。
アサガオが置いてあるすぐ傍には木が立っていて、その木のずっと上の方からミンミンゼミの鳴き声が聞こえていた。
頬を伝う汗を汗ばんだ腕で拭いながら木の上の方を見上げた。
幼いあたしにはとてつもなく大きく見えて、そのせいか蝉は見つからなかった。