私達の生きた道
「あの…何か?」
余程、私が凝視していたのか。
彼は聞いてきた。
「あ、いえ…」
私…
何、やってんだろ。
私は恥ずかしくなって目を逸らした。
と、私の目線の先には壁に吊り下げられたデジタル時計。
既に、上映時刻は過ぎていた。
「あっ!映画!!」
私は思い出して、走り出した。
でも、ハッと気づいてまた立ち止まる。
振り返って見た。
しかし…
そこにはもう彼の姿はなかった。
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