私達の生きた道
なんだか、不思議な人だった。
そして…
寂しい雰囲気を持った人だった。
「あ、早くしないと!」
私はまた思い出して、走った。
中に入ると、話し声は聞こえず。
映画の音だけが響いていた。
「すみません…」
私は小声でそう言いながら、席に座っている人の前を通った。
そして、蒼空の隣に座る。
蒼空は私に気づいて、大画面から目を逸らして私を見る。
「もうっ、遅いよ立夏」
「ごめんごめんっ」
回りに迷惑にならないように、小声で蒼空と話した。
「まあ、まだ始まったばっかだからね…」
それだけ言って、蒼空はまた大画面に目を向けた。