好きとは言えなくて…
小学校の時のクラスメートである佐倉君に会ったことや土曜日に佐倉君とデートしたこと、佐倉君には好きな人がいて今日の朝にその好きな人に告白されたこと。
私がわかることの全てを斉藤君に話した。
全て話終わり斉藤君を見ると私以上に辛そうな顔をしていた。
「最上さん。今まで辛かったですよね。
そんな人やめて僕に『キーンコーンカーンコーン』」
斉藤君が何かを言う前にお昼休みのチャイムが鳴った。
そして斉藤君は我に返ったのか『さっきのは忘れて下さい!』そう叫びながら走って校舎の中に入っていった。
「斉藤君。さっき何を言おうとしたんだろう?」
「そうだね。とりあえず斉藤君は運悪すぎ、由衣は鈍感過ぎってことかな」
「私、鈍感じゃないし」
「さっきの流れを気付かないようなら鈍感だから。
とにかくチャイム鳴ったから戻るよ」
菜美はそう言うと私を置いて校舎へと向かった。
「ちょっと!待ってよ!」
私が鈍感って一応佐倉君に好きな人がいるってことはいち早く気付いたんだけどな。
なんか不本意だ。斉藤君も途中まで言って行っちゃうしなんだかな。
そんなことを思いながら菜美の後ろ姿を追いかけていた。