好きとは言えなくて…
相変わらず裏庭は爽やかな風が吹きその風は私達を包み込む。

今回は先に裏庭のベンチで待ってるってことをせずに隣には斉藤君がいた。


「私に話ってなに?
裏庭に呼ぶってことは大切な話なんだよね?」


普通の話なら教室の前で話せることだ。それなのにわざわざ裏庭で話したいってことは大切な話なんだろうって思ってた。


「はい。あのぅ…ですね?」


斉藤君はそこで言葉を止めて緊張した眼差しで私を見る。


「そんなに話ずらい話なの?
友達なんだからそんなに緊張しなくてもいいと思うんだけど…」


確かに以前、斉藤君に告白されたけど今は友達だよね?


「僕は友達ですか…確かに友達になってくださいとはいいましたが」


私の言葉に斉藤君はゴニョゴニョと言いながら顔は落胆した顔をしていた。


? 私、何か変なこと言った?


「最上さんがそこまで抜けてるとは思いませんでした」


「抜けてるってさりげなく酷いよね」


私はムゥと拗ねたような顔で斉藤君を見た。


「そんな可愛い顔で見ないで下さい。
って、そうじゃなくて。以前にもお話はしましたがもう一度言わせて下さい。

僕はやっぱり最上さんのことが好きです。僕は前にフラれてますが貴女と話せば話す程にこの気持ちは大きくなるばかりです。

こんな最上さんが落ち込んでる時に再び言うなんてせこいかもしれませんが、最上さんの好きな人よりか貴女を幸せにしますなら、だから…僕との事をもう一度考えてくれませんか?」



まさか斉藤君が再び告白をしてくれるなんて思ってなくて驚きを隠せない。
それと同時になんで菜美が楽しそうにしていたのかがわかった。



「でも前、斉藤君は友達だって…」


「そうだけど、貴女の悲しむ顔なんて見たくないです」



いつもの自信なさげな斉藤君とは違って自分の気持ちを私にぶつけてくる。


私もこうやって佐倉君に自分の気持ちを伝えたことあっただろうか。


斉藤君がいるというのに佐倉君の事を考えるなんて物凄く最低だ。
斉藤君はちゃんと私と向き合おうとしてるのに何やってんだろう。





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