好きとは言えなくて…
なんなのよ。一体。


今目の前にいる人なんて知らないのになんで菜美は先行っちゃうかな。


意味がわからずにため息を一度ついて目の前の男の子に目を向ける。


その男の子は私と目が合うと顔を赤らめた。


「あ、あのぅ。最上(モガミ)さん。ここではなんなので中庭行きませんか?」


男の子は緊張した面持ちでそう言った。


「それは構わないけど、その前に聞きたいことあるんですが…」


「えっ? なに?」


男の子は少し驚いた顔で言う。


「私は貴方の名前を知らない。だからせめて名前教えてくれない?」


向こうは知ってて私が知らないとか嫌だから。




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