好きとは言えなくて…
「他にも何かあるんでしょ?
例えば由衣ちゃんが告白されたとか」


奥さんは私の今日の言動を見てきたかのように聞いてくるから驚いて洗剤がついてる手で口を覆う。


「あれ? 図星だった?」


「確かに奥さんの言う通り今日私は告白されました」


私が素直に肯定すると奥さんは私の話がわかったのか真剣な顔をして言葉を紡いだ。


「由衣ちゃんは可愛いからね。
その憧れの人が気になってるけど、告白された子にも心が揺れてるってことね。
女の子は愛するよりか愛される方が幸せだと思うよ」


私よりか年上で経験もあるからだろう奥さんはそうアドバイスをくれた。



そう言われるとどうしたらいいのかわからなくなる。


「でも、最後にどうしたいかは由衣ちゃん次第だからね。私のはただの助言よ。
あっ、その洗い物が終わったらあがっていいわよ」


奥さんは楽しそうに言うとその場をあとにした。


「結局は私次第ってこと…か」


私はそう呟いて鼻についた洗剤を洗い流して食器洗いを再開した。




間もなくして食器洗いは終わって奥さんの言う通りに仕事をあがらせてもらった。





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