好きとは言えなくて…


私は佐倉君に腕を掴まれたまま黙って佐倉君の後ろを歩いていた。

私も喋らなければ佐倉君も喋らないから無言だった。


佐倉君に掴まれた腕が熱い…
それと同時に心臓がドキドキといつも以上に高鳴る。私が気づかない間に佐倉君のことを想っていたんだなって実感した。


「そうだ。最上、今って時間ある?」


私と佐倉君の母校である小学校の前に来た時に佐倉君は尋ねてきた。


「…うん。今日は早めにバイトが終わったから30分くらいなら大丈夫だよ」


急な誘いに驚きつつも頷いた。


「じゃあそこで少し話そうか」


佐倉君はニッコリと笑うとグイッと私を引っ張った小学校の校庭へと入っていく。


「ちょっと…勝手に入って大丈夫なの?」


夜の小学校ということで私は小声で佐倉君に尋ねる。


「大丈夫だって。皆勝手に入ってるって。
それにもし何かあれば俺がどうにかする」


佐倉君はいたずらっ子のような笑顔をして私を見た。


そんな笑顔をされたら断れないよ。


私はコクンと頷くと佐倉君は満足気な顔をするとブランコの前へと足を向けた。




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