好きとは言えなくて…
私はブランコに座ると佐倉君も同じようにブランコに座り持っていたコンビニ袋からオレンジジュースを取り出して渡してくれた。


「ありがとう」


お礼を言ってストローをさした。隣にいる佐倉君は缶コーヒーのプロタブを開けていた。


「最上、今日はなにかあったの?」


佐倉君が缶コーヒーを両手で持ちながら顔は私を見た。その表情はとても心配そうだった。


「得に何もないよ。
佐倉君こそ、好きな人から告白されたんでしょ? 良かったじゃない」



ニッコリと佐倉君に笑顔を向けた。
ちゃんと笑えてるか不安だったけど佐倉君は気にしてない様子で安心する。


「ありがとう。
告白された時、実感わかなかったんだよな。何かが心に引っ掛かったんだ」


佐倉君は腑に落ちない顔を見せた。


「でも好きな人に告白されたんでしょ? それだけで嬉しいと思うよ。
私はよく話したことない人に告白されるからなんとも言えない気持ちになるんだけどね」



「あぁ。最上は綺麗になったもんな。
市川に告白されて少したって喜びが出てきてちょうど明日が市川の誕生日だからこの前買った物をプレゼントして返事をしようかと思ってる」


佐倉君の顔には迷いがなくて嬉しそうな顔をしていて、その表情を見てズキリと胸が痛んだ。


「明日は気合いいれないとね。
私もちゃんと決めないと」


私は斉藤君のことを思い出した。
きっと斉藤君となら同じようなことは起きないと思う。


だけど…







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