好きとは言えなくて…
そうやって一人で悩んでいると斉藤君は不安そうな顔で尋ねてきた。



「あの…もしかして昨日の話ですか?」


私の気持ちを察してくれたのだろう斉藤君が最初に切り出してくれた。
斉藤君の細やかな気遣いが素敵だなって思った。


きっとこの人なら…



「あっ、うん。実はその話なんだ。
昨日よく考えたんだけど…私で良ければ付き合って下さい!」


これでいい。佐倉君を忘れるにはこうやって違う人と過ごす方がいい。


でも、本当にそれでいいの?


斉藤君の顔を嬉しそうな顔を見て罪悪感が生まれた。



私は罪悪感を無理矢理心の奥底に押し込めて笑顔で頷いた。


これでいい。これでいいんだ。


そう思い込んだんだ。


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