好きとは言えなくて…


ー由衣子ー


私は家に帰るとすぐに自分の部屋へと向かった。


学校の制服姿のままベットに倒れこんだ。


今日は一日疲れる日だった。


溜め息をつきながらも今日の事を思い出す。



*****


「折角、その…恋人同士になったのですから一緒に帰りませんか?」



斉藤君は緊張した顔で尋ねてきた。


確か今日は何もなかったはず。


これからの予定を思い出しながら肯定の意味で頷いた。


「良かったぁ。では、行きましょう」


斉藤君はベンチから立ち上がると私の手を引っ張って立たせてくれる。
そのまま手を繋いだまま斉藤君は歩き出した。



手を繋いだことがない訳じゃないけどそれでも慣れないことなので照れてしまう。


「斉藤君! 手を繋いだ…ままなんだけど」


最後はゴニョゴニョと小さな声で訴える。


「付き合ってるならいいじゃないですか!」


いつものオロオロした姿から一変して力強くそう言うものだから頷くしたなかった。



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