好きとは言えなくて…
私と斉藤君は商店街で売ってるコロッケやソフトクリーム、たい焼きを食べ歩きながら、時には気になった古着屋さんやアクセサリー屋さんを見て回ったりもした。


そうやって遊んでるとそれだけで時間は過ぎていて外は薄暗くなりかけていた。


「時間が経つのは早いですね」



私と斉藤君は休憩として長椅子に並んで座った。
すると、斉藤君はしみじみと感慨ぶかけに呟いた。


薄暗い中でも夕暮れ特有の赤い光があってその光を浴びた斉藤君の横顔がいつもより大人っぽく見えて戸惑いつつも『うん』って頷いた。


「少しは気が紛れましたか?」


「えっ?」


「いえ…とても言いにくいのですが、昨日最上さんと好きな人の間に何かあったのかって思いまして」


斉藤君はモゴモゴと言いにくそうに言った。


なんだ。斉藤君はわかってたんだ。それなら斉藤君に悪いことしちゃってるなぁ。


「うん。実はそうなのだ。ごめんね。身代わりみたいなことしちゃって…。
でもちゃんと斉藤君のことを好きになるから……さ」


「いえ。最上さんを責めてる訳ではありません。例え身代わりでも僕を選んでくれたことが嬉しいですから。少しずつ僕を好きになってくれれば、いい」


斉藤君は私を見るとニッコリと笑った。
そんな斉藤君に私は『ごめんね。ありがとう』って呟いた。









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