好きとは言えなくて…
全てを聞き終えた菜美は額に指を押し当てて溜め息を一つついた。


「あんたって本当にバカッ!」



やっぱり…。


私はしゅんとしながらも菜美の言葉に耳を傾ける。


「あたしは由衣が幸せならそれでいいの。でも由衣は自分から幸せを選ばないから、だから腹が立ってるの!」


「うん。ごめん…
でも私は決めたから。だから佐倉君じゃなくて斉藤君を選んだ」



そう。これは私が決めたこと。菜美に何を言われても変えることはできない。
それにまたこれで斉藤君と別れたらいつもと変わらなくなってしまう。



「…っ! もう、由衣なんか知らない!!」


菜美はベンチから立ち上がりそう一言残すと走り去る。


「ちょっと! 菜美!!!」


まさか、菜美が行ってしまうとは思わなくて慌てて立ち上がって菜美の名を呼ぶけど菜美は止まらずに行ってしまった。



「私、間違ってたのかな…? でも…」


私は言ってしまったのだ。そして、もう誰も傷つけたくないんだ。



間もなくしてお昼休みが終わるチャイムが聞こえたけど私は動くことが出来なかった。





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