好きとは言えなくて…
ー竜貴ー


授業が全て終わり、今日宿題として出されている教科を思い出しながらその教科の教科書とノートを机から出して鞄に入れていく。


そんなことをしていたら教室の扉から俺の名を呼ぶ声が聞こえた。


その声を聞いてそう言えば今日は梢と帰る約束をしてた事を思い出して無意識に溜め息をついた。


なんで俺は今好きな子と付き合ってるというのに溜め息なんかついてるのだろう。今が一番楽しい時だっていうのに…。



「竜貴君。どうしたの?」


教室のドアの所にいた梢は我慢できなかったのか俺の机の方に来ていて俺に上目遣いをしながら尋ねる。


「いや、何でもないよ。行こっか」


教科書を入れ終わったリュックサックを背中に背負いニッコリと梢に笑顔を向けると梢の手を掴んで歩き出した。


「竜貴君、歩くの早いよぉ」


梢はそう嬉しそうに小言を言いながら俺に着いてきた。



俺の隣に前から好きだった可愛い彼女がいるんだ。今は幸せなんだって俺は言い聞かせていた。





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