好きとは言えなくて…
私が駅に着くと改札口の近くに見覚えのある女の子を見つけた。


あれ？ あの子どこかで見たような…


そう思いながらもその女の子の前を通り過ぎようとしたら、


「あのぅ…最上 由衣子さんですよね？」


私の名を呼んで引き留めた。


「はい。そうですが、貴女は？」


見覚えはあるけど知らない人に名前を呼ばれ不信に思いながらもその子に尋ねた。



「あっ、すみません。申し遅れました。
あたしは市川 梢です。そして、竜貴君の彼女です」


その子…いや、市川さんは可愛らしい声と笑顔を私に向けてきた。



あぁ、だから見覚えがある子だって思ったんだ。
それにこんな可愛い子が佐倉君の彼女なら私に敵う訳がない。


「佐倉君の彼女である市川さんが私に何か用ですか？」



だからって私も引ける訳もなく嫌みたっぷりに市川さんに聞く。


私、いつの間にこんな嫌な感じになったのだろうか。




< 144 / 175 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop