好きとは言えなくて…
「由衣。さっきからうざいよ。
そんなに市川さんが気になるならそのまま佐倉君に片想いでもしてればいいよ。

由衣はいつもそう！人の事を考えてるフリをして最終的には自分が傷つかない方法を取ろうとする。

それが相手を傷つけることに気付かないとか本当にタチが悪い」


菜美は肩で息をしながら涙目になりながらも怒鳴り付けてきた。


「ごめん、なさい…」

まさか菜美にそう言われるとは思わなくて小さな声で謝るしか出来なかった。


「違う！謝って欲しい訳じゃない
由衣にはもっと人に対して貪欲に接して欲しいの。自信を持って欲しいの！

あたし。前に言ったよね？ 由衣はもっと自信を持った方がいいよって。
それなのになんで由衣は佐倉君が由衣自身を好きかもしれないって思わないのよ」


「そんなこと思える訳ないじゃない！ 昔の私は地味な子で佐倉君はクラスの人気者なんだよ？ そんな人が私を好きになるわけないよ」


そうだよ。私は地味な子で佐倉君はクラスの人気者。そんな人が私なんかを見てくれるなんてある訳ない。


「それは佐倉君に言われたの？ 由衣は地味だから好きにならないって。
違うでしょ？ やっぱり由衣は逃げてるだけじゃない！
斉藤君が後押ししてくれたのに意味ないじゃない。由衣は何もわかってない！」


菜美の口から斉藤君の名が私は固まってしまう。

斉藤君…。
私は斉藤君と付き合ってるから佐倉君から逃げてて、それで斉藤君は私を解き放してくれた。


私は何もわかってなかった。せっかく斉藤君が気付かせてくれたのに…。




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