好きとは言えなくて…
「人気者かどうかは別としてたっくんって呼び名は懐かしいな」


佐倉君は懐かしそうに喋る。


「私は今さっき初めて呼んだんだけどね」


嘘。本当は何度も呼んだ。佐倉君がいなくなった後に呼んでた。


それは佐倉君も知らない。


「そうだっけ? なんか俺が教室から出た後に『たっくん』って聞こえた気がしてたけど?」


『違った?』とつけたしながらニヤリと意地悪く笑った。



佐倉君に聞かれてたなんて…



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