好きとは言えなくて…
「由衣って斉藤君のこと…「彼は友達です! 菜美も聞いてたでしょうが」


菜美が斉藤君の傷を抉るようなことを聞いてこようとしたから慌てて答えた。
だって改めてフラれたって認識するのって辛いと思ったから。


「犬飼さん。聞いてたんだ」


まさか斉藤君は菜美に聞かれたのがショックみたいで頭をガクッて落とした。


「斉藤君。大丈夫?」


「はい。なんとか…」


そんなやり取りをしてる時に


キーンコーンカーンコーン


「これって始業のチャイムだよね?」

念のため菜美に聞くと菜美の顔は青ざめた。


「急いでいかないと遅刻する!」


そう呟きながら走った。


運が悪く2年生である私達の教室は2階にある。


私達は慌てて階段を昇った。




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