好きとは言えなくて…
いつって…。
昨日は一部始終見てたんじゃないのか。


「昨日の放課後に斉藤君から告白されて、私が断ったら斉藤君が『友達からじゃダメですか?』って言ったからじゃあ友達からねってメアド教えた」


簡単に菜美に説明すると菜美は『そういえば昨日そんな話してたね』思い出したように呟いた。

「でさ。由衣は斉藤君と付き合う気ってあるの?」


菜美は目を爛々とさせて尋ねてきた。

それはもう女の子が恋ばなして面白がってるかのような顔だった。


「それはわからないよ。
必ずしも友達になったからって好きになるとは限らないじゃない」


恋って言うのは…
好きになるって言うのはそんなに簡単なものじゃないと思うから。


「相変わらず由衣は冷たいね」


「冷たくて悪かったですね!」


どうせ私は冷たいですよ。


ムッとした顔で菜美に訴えると菜美は「でも…」と話を続けた。


「そういう由衣が好きなんだよね。その媚びない感じとか?」



まさかそういう風に言われるとは思ってなくて少し照れてしまう。


「ありがとう…
私も菜美が友達で良かったと思うよ」


私がそう呟くと菜美は嬉しそうな顔をした。



< 55 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop