好きとは言えなくて…
「で。
由衣は佐倉君のことはどう思ってるの?」


私が泣き止んだのを見計らって菜美は楽しそうに尋ねてきた。


「菜美ちゃん? さっきの私の話聞いてた?」


まさかの言葉に私は顔をひくつかせながら笑顔で言った。


「もちろん聞いてたよ。
でもそれとこれとは話は別だよ。どうするの?」


菜美。さっきすっごく感動したのに…。


「どうもこうも何もしないから。
ただ佐倉君は憧れってだけ」


好きか嫌いかと言えば憧れだし好きな部類に入ると思うけど、佐倉君が私を好きになるなんて奇跡だよ。
昔と今の私は全然違うし。


「憧れの感情から恋に発展するかもしれないじゃない」


「例えそうだとしても私は今、恋とか愛とかに興味ないの」


溜め息混じりに言うと菜美はムゥってつまらなそうな顔をした。



「もうすぐ授業始まるから教室戻ろ」


私は広げたお弁当を片付けて立ち上がった。


その時。ちょうどお昼が終わるチャイムが鳴った。





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