好きとは言えなくて…
* * *
「…い。おい。最上?」
佐倉君が私の肩を揺らしながら私を呼んだので我に返り佐倉君を見た。
「あっ、ごめん。どうかした?」
「なんか最上がボーッとしてたから気になって」
佐倉君は気まずそうにそう言った。
電車に揺られその心地よい揺れのおかげで昨日のことを思い出してた。
「ついついボーッとしてた。ごめんね?
それで私に買い物に付き合って欲しいってことは女の子にプレゼントでもするの?」
佐倉君は昔から人気者だったから恋人がいてもおかしくない。
自分でそう思いながらもズキリと心臓の辺りが痛んだ。
なに? この痛みは?
「最上はよくわかったね。最上の言う通りにその…好きな人がもうすぐ誕生日で…」
佐倉君は顔を赤くしながら呟いた。
「やっぱり…」
自分でもわかっていたのにやっぱり傷つくな。佐倉君が私のことをなんと思っていても関係ないけどさ。
「なんか言った?」
「うぅん。なんでもない」
私の声が聞こえてたのか佐倉君が尋ねてきたので私はニッコリと微笑みながら何事もなかったように答えた。