好きとは言えなくて…
ふとさっきまでいたお店を見るとプレゼントを選び終えた佐倉君がラッピングして貰った物を嬉しそうに持ってお店から出ていく所だった。


よし。これでこの人達から解放される。


「あっ! さくら~。こっちこっち」


私はわざと佐倉君と呼ばずに"さくら"って呼んだ。だってそっちの方が女の子だって思われると思ったから。


私が呼ばない呼び方だったので佐倉君は驚きを隠せない様子でこっちを見た。


「へぇ。お友達の名前はさくらちゃんって言うのか。可愛い名前だな」


金髪をモリモリに盛ったいわゆる一昔前のチャラ男は嬉しそうに言う。


誰も女だって言ってないのにね。

私は心の中であっかんべーをしながら佐倉君が来るのを待った。




佐倉君はというとニコニコと笑いながら私と私を囲むように立つ3人の元へと近づいてきた。


「なんだお前は?」


3人のリーダーは佐倉君を睨みつけた。


「俺? 俺はそいつの言う"さくら"だけど?」


佐倉君は私を指差しながらそう言った。


「さくらって男だったのかよ!」


チャラ男は私を見ながら呟いた。


「誰も女の子って言ってませんけど?」


ニッコリと微笑みながらチャラ男を見るとチャラ男はほんのり顔を赤くしていた。


「どうでもいいけど俺の女そろそろ返してくんない?」


佐倉君はニッコリと笑ってるんだけど後ろからは黒いオーラが見えた気がした。


「すっすみませんでした~!」


3人組の男は叫びながら私達の前から去っていった。



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