好きとは言えなくて…
「菜美が今日来た理由がわかったからいいよ。
二人とも紅茶淹れてきたから」


「由衣。ありがとう」


菜美がニッコリと嬉しそうに笑う。
その間に私が勉強する用に置く折り畳みのテーブルを部屋の真ん中に置いてトレイを勉強机からそのテーブルへと移した。


「斉藤君? どうかした?」

中々私達の所へと来ない斉藤君を見ながら言うと斉藤君は呆然と私と菜美を見ていた。


私なにかしたっけ?


「あっ。いえ。二人は仲がいいなと思いまして。
そういえば僕これから用があるのを思いましたので帰りますね」


穏やかな顔をしてたと思ってたら急に慌てだした斉藤君。


「折角、紅茶淹れたのに」


私がポツリと呟くと斉藤君は顔を赤くしながら『そういえばそうでした!』そう言いながら紅茶をグイッと飲んだ。


「ごちそうさまでした。では、おじゃましました」


早口に言う斉藤君は私の部屋へと出ていった。



「斉藤君に何かあったのかな?」
「斉藤君。熱くなかったのかな? 紅茶」

斉藤君がいなくなって私と菜美の二人になるとポツリと同時に声を出していた。


それにしても…


「菜美。突っ込み所そこ?」


「うん。だってまだ紅茶に湯気たってるじゃない」


菜美はクスクスと楽しそうに笑った。









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