好きとは言えなくて…
斉藤君が飲んで空になったカップをトレイに乗せて私と菜美は紅茶をすすっていた。
「で、昨日は何があったの? そのポケットからはみ出てるのなに?」
私は紅茶を飲むのをやめて菜美を見た。
どうやら菜美にはお見通しらしい。しかもいつの間にか猫のキーホルダーにも気付いてるしね。
スカートのポケットの中に入れていた猫のキーホルダーをテーブルの上に出した。
「猫のキーホルダー? 佐倉君から貰ったの?」
「うん。昨日、買い物に付き合ってくれたお礼だって」
この猫のキーホルダーは帰り際に佐倉君から貰ったものだった。
「いい感じじゃんって言いたい所だけどそれだけじゃないようだね」
さすが菜美。察しがいいことで。
私は昨日の佐倉君との話を菜美に話した。