好きとは言えなくて…


* * *


『ピッピッピッピー
只今12時を迎えました』


館内の放送が流れて12時を知らせてくれる。


その放送とほぼ同時に私のお腹がグーッて鳴った。


うっわ! この時に限ってお腹が鳴るなんて最悪。

さっきまで胸が痛かったのが恥ずかしさの方が勝り自然と顔が熱くなるのを感じた。



「もう12時だしご飯食べようか。ファーストフードでもいい?」


私に気を使ってなのか何事もなかったように佐倉君はそう言ってくれた。

やっぱり佐倉君は昔と変わらず優しい。でも佐倉君には好きな人がいるんだよね。


さっきまでお腹が鳴って恥ずかしさの方が勝ってたのがまた沈んでしまってる自分がいて凹んでしまう。


「最上。また一人で考え事? 今からご飯食べるんだから楽しそうにしようぜ」


佐倉君はニッコリと笑いながら私の右手首を掴んで引っ張った。



そんなことしたら好きになっちゃうよ…


佐倉君に顔が赤いことがバレないようにうつむきながらも佐倉君に手首を引かれた。



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